スイスのボーディングスクールとは——学校が「勉強と生活」をまとめて預かる仕組み
ボーディングスクール(boarding school)は、日本語でいう全寮制の学校です。
生徒は校内の寮で暮らし、授業も食事も週末の活動も、同じ敷地の中で続いていきます。
日本の学校との一番の違いは、家庭が担っている部分まで学校が引き受けていることです。
だから学費が高く見えます。実際には授業料に生活費が合算されている、と考えると理解しやすくなります。
スイスという立地の特徴
スイスのボーディングスクールによく挙がる特徴は、次のようなものです。
- 多言語・多国籍の環境——学校によっては国籍の偏りを抑える仕組みがあります。ル・ロゼでは1つの国籍が全体の10%を超えないクォータ制が取られています
- 規模が小さい——ル・ロゼの生徒数は約400名で、全員が寄宿しています
- 自然環境と結びついたカリキュラム——ル・ロゼは1〜3月のウィンタータームに全校がアルプスのグシュタードへ移り、スキーとスノーボードが正課に組み込まれます
最後の「キャンパスが季節で変わる」点は、あとで見学の話に効いてきます。
見たい時期によって、見える景色がまるきり違うからです。
学費はいくらか——「年間いくら」で見ると見通しが立つ
金額は学校と学年で大きく変わります。
ここでは公開されている数字をそのまま並べます。
ル・ロゼの場合(2026-27年度)
- ジュニア(Classes 9〜6)——CHF 56,100〜
- シニア・カデット(Classes 5〜Terminale)——CHF 159,600
この額に含まれるのは、授業料・寮費・食事・スポーツ・2つのキャンパス間の移動費です。
別途かかるのは、任意の課外活動、制服、個人的な費用とされています。
加えて、出願の段階で出願料 CHF 3,000(返金不可)が必要です。
奨学金を申請する場合は、別に CHF 500 がかかります。
スイス全体で見た相場
複数校を並べた一覧では、年間の基本費用はおおむねCHF 61,900〜138,000の範囲に収まっています。
下はインスティテュート・モンタナ・ツーゲルベルク、上はル・ロゼの高学年です。
円に置き換えると桁が大きくなります。
1フラン=200円で換算した場合、年間でおよそ1,100万円台から3,100万円台という規模感です。
ただし為替は動きます。
検討する段階では、円ではなくフランの額で覚えておくほうが判断を誤りません。
見落としやすいのは「年数」
多くの方が年額だけを見て止まってしまいます。
実際に効いてくるのは年額 × 在籍年数です。
中等教育の途中から卒業まで通えば、5年前後になることも珍しくありません。
最初に「何年間を想定するのか」を決めておくと、学校選びの基準そのものが変わってきます。
何歳から入れるのか——日本の小学生から見た入口
受け入れ年齢は学校によってかなり違います。
- ル・ロゼ——8歳〜18歳
- 学校全体を見渡すと、最年少は1.5歳から、最年長は19歳までという幅があります
つまり、小学校の高学年にあたる年齢から入口がある学校は実在します。
ただし「年齢が合えば入れる」わけではありません。
出願で求められるもの
- オンライン登録フォームの提出
- 成績証明書・推薦状
- アドミッションチームとの面接(世界各都市で実施されます)
- 審査セッションでの合否判定
語学力については、高校生でTOEFL 80点・英検準1級あたりが目安として挙げられることがあります。
低学年ほど語学の要求は下がる一方、生活面の自立が見られます。
出願のカレンダー(2026-27年度の例)
ル・ロゼの場合、オンライン登録の受付は毎年9月1日から12月31日です。
審査は複数回に分かれています。
- 第1回——書類締切 10月8日/通知 11月上旬
- 第2回——書類締切 11月26日/通知 12月中旬
- 第3回——書類締切 2月11日/通知 3月上旬
定員やクォータに達すると、以降はウェイティングリストに回ります。
早期の出願がすすめられているのは、このためです。
ここまでを小学生の保護者の視点で読み直すと、見えてくることがあります。
出願は「いま決める」話ではなく、「数年先に選べるようにしておく」話だということです。
パンフレットとWebサイトでは分からない、5つのこと
学校案内はどこも美しく作られています。
そして、美しい資料ほど差が出ません。
実際にお子さんを預けるかどうかを決める材料は、だいたい次の5つに集まります。
- 寮の一日のリズム——起床から消灯まで、誰がどう見ているのか
- 国籍構成の"体感"——数字の上では多国籍でも、食堂で聞こえてくる言語は偏っていることがあります
- 先生と生徒の距離——質問しに行ける雰囲気があるかどうか
- 土地そのもの——湖畔か、標高の高い山の上か。気候と移動の負担は生活の質に直結します
- お子さん本人の反応——結局これが一番大きい材料です
どれも、現地に立たないと分かりません。
逆に言えば、1日見学するだけで判断材料の大半が手に入るということでもあります。
「うちの子の学年だと何が見られるか」「どの時期に行くのがよいか」といったご相談も多いです
無料オンライン説明会を見てみる見学の段取り——学校暦から逆算する
見学でいちばん失敗しやすいのは、行く時期の選び方です。
順番に決めていきます。
1. まず志望校の学校暦を確認する
スイスの学校は、長期休暇の時期が日本とずれます。
学校が休みの期間に訪ねても、生徒のいない建物を見るだけになってしまいます。
さらに、冬にキャンパスごと移動する学校があります。
ル・ロゼは1〜3月がアルプスのグシュタード、秋と春はレマン湖畔のロールです。
どちらのキャンパスを見たいかで、行く月が決まります。
2. 日本側の都合と重ねる
日本の春休み(3月下旬〜4月上旬)は、ちょうど切り替わりの時期にあたります。
学校側がどちらのキャンパスで動いているかは、年によって変わる可能性があるため、必ず事前にご確認ください。
3. 「見学だけの渡航」にしない
スイスまでの往復で、見るのが学校だけというのは、費用の面でも体力の面でも重くなります。
お子さんにとっても、知らない学校を見て回るだけの旅は退屈になりがちです。
現地で過ごす時間とセットにすると、負担が一気に下がります。
子どもが現地の子と遊んだり、現地の家庭で食事をしたりする時間があると、学校を見たときの反応も変わってきます。
4. 当日に見ておくリスト
- 寮の部屋と、1部屋あたりの人数
- 食堂(メニューと、誰と誰が一緒に座っているか)
- 週末の過ごし方と、外出のルール
- 医務室と、体調を崩したときの対応
- 日本人の在籍状況と、その学年の分布
- 途中で退学・転校していく生徒がどのくらいいるか
最後の項目は聞きにくいものですが、聞く価値があります。
定着率は、パンフレットに出てこない情報のひとつです。
5. 「面接=見学」ではない点に注意
ル・ロゼの面接は世界各都市で実施されます。
つまり学校に行かなくても出願手続きは進められるということです。
便利な一方で、現地を見ないまま話が進んでしまう原因にもなります。
手続きと見学は、別々に予定を立ててください。
参考:ainiのスイスプログラムでできること(実例)
ここまでが一般的な進め方です。
最後に、具体例としてわたしたちのプログラムを置いておきます。
立て付けは、親子でスイスに滞在しながら、名門校の見学(オプション)を組み合わせるという形です。
プラン
- プランA:スイス人家庭に滞在&交流——幼稚園〜小学生の親子、3泊4日、1組35万円。現地家庭へのホームビジット、一緒の料理、現地の子どもとの交流。オプションで、ル・ロゼ校など名門校を2〜3校見学できます(料金は要問い合わせ)
- プランB:モンテッソーリ・デイキャンプ——2〜5歳+保護者、3日・5日・7日から選択、1組25万円〜。寮制ではなく親子で参加でき、ランチ付きです
- プランC:スキー&スノボキャンプ——5〜15歳(お子さまのみ参加)、3日・7日から選択、子ども1名50万円〜。午前は語学・アート・プールなどから選び、午後はスキーとスノーボードです
料金はスイスフラン建ての費用を、1フラン=200円で換算した目安です。
開催地はジュネーブ近郊(レマン湖の近く)が中心です。
含まれるもの/ご家庭で手配いただくもの
含まれるのはプログラムの参加費です。
現地家庭との交流、キャンプの参加費、現地ガイドによるアテンドなどが該当します。
次のものは含まれません。ご家庭で手配いただく形です。
- 航空券・列車代・現地の交通費
- 宿泊費・食費
- 海外旅行保険(必ずご加入ください)
オプション(名門校の見学、ホームステイ、参加者の追加)は別料金です。
開催時期と詳細は、無料オンライン説明会でご案内しています。
なお、名門校の見学そのものは、ほかでも取り扱いがあります。
わたしたちの特徴は、行き先が3カ国あること、現地在住日本人によるサポートをオプションで選べること、そして親子で滞在する日程と見学を組み合わせられることです。
スイス以外もあわせて検討される場合は、マレーシアとニュージーランドのページもご覧ください。
未就学のお子さんは年中・年長さん向けのページが近いです。
プログラムの詳細はスイスのページに、ほかの記事はコラム一覧にまとめています。
よくある質問
A. 学校によります。
たとえばル・ロゼの対象は8歳から18歳で、小学校高学年にあたる年齢から入口があります。
学校全体を見渡すと、受け入れ年齢は最年少で1.5歳、最年長で19歳と幅があります。
ただし出願には成績証明書や推薦状、面接が必要です。小学生のご家庭にとっては、いますぐ出願する話というより、数年先の選択肢として情報を集め、実際に学校を見ておく段階にあたることが多いです。
A. 全寮制のため、授業料だけでなく寮費と食事が含まれるのが一般的です。
ル・ロゼの2026-27年度は年間 CHF 56,100〜159,600 で、授業料・寮費・食事・スポーツ・2つのキャンパス間の移動費が含まれると案内されています。
任意の課外活動、制服、個人的な費用は別途です。出願時には CHF 3,000 の出願料(返金不可)もかかります。
金額は学校と学年で大きく変わるため、必ず志望校の最新の案内でご確認ください。
A. ainiのスイスのプログラムでは、名門校の見学はプランA(スイス人家庭に滞在&交流)のオプションという形です。
ル・ロゼ校など2〜3校を見学でき、料金は要問い合わせとなっています。
見学だけを単独で手配する形ではなく、親子で現地に滞在する日程と組み合わせる立て付けです。
希望の学校や時期が決まっている場合は、無料オンライン説明会でご相談ください。
A. 含まれません。
航空券・列車代・現地の交通費、宿泊費・食費、海外旅行保険は、ご家庭で手配いただく形です。
プログラムに含まれるのは参加費で、現地家庭との交流やキャンプの参加費、現地ガイドによるアテンドなどが該当します。
パッケージツアーではないため、見積もりはプログラム側とご家庭で手配する側を分けて作るのが確実です。